2013年10月14日月曜日

職場復帰一ヶ月目、3つのチャレンジ

職場復帰の経験者は少なからずおられると思いますが、実体験を文章化したものにはなかなかお目にかかりません。

職場復帰についてのトピックスは、「経験者なら誰でも知っているけど、それ以外の人には意外と知られていない」らしく、言うなればある種、暗黙知化しているのかもしれませんね。ですから、当ブログで、このように取り上げてゆくことは、価値あることなのではないかなぁと思っております。

さて。
職場復帰をすると、最初の一ヶ月は、克服しすべき課題に多くぶちあたります。大別すると、以下の3つになります。

(1). タイム・マネジメント
(2). 体力
(3). キャッチ・アップ

順にお話してみましょう。

★★★

(1). タイム・マネジメント

この点が課題になるのは、職場復帰直後だけではありません。また女性だけでなく、すべてのビジネス・パーソンにとって、永遠の課題とも言える難問です。が、この時期のタイム・マネジメントの難しさは格別です。なんといっても、直前までは育児休業で自宅にいたのですから、「決められた時間に出勤すること」自体が、かなり大きなチャレンジだったりします。

というのも、自分だけではなく、子供の身支度も完了させて、出発しなくてはいけないから。そして、子供は本能で生きていますから「なぜ、いま、それをするんだぁ~!!」とか「よりによって、こんな時に~!!」という事態に、多々遭遇します。出がけにオムツを盛大に汚す、とか。

さらに、上の子がいる場合は、もっと悲惨なことになります。特に自我が芽生えた3歳前後の子供はちっとも言うことを聞きませんから、どんなに時間がなくても、「この服、自分で着る!!」(と言って、のろのろ支度)、「お水、自分でコップに注ぐ!!」(と言って、挑戦してはこぼす)、「歯磨き、自分でする!!」(と言いながら、いつの間にか水遊び)、「この靴、自分で履く!!」(と言いつつ、うまく履けずに悔し泣き)と、時間がかかること、かかること。こちらの都合は一切、お構いなしです。

さらに、さらに!!
なんとか無事に自宅を出たかと思いきや、あっちへ寄り道、こっちへ寄り道。目的地に直行、というわけには参りません。私の場合、通常10分ほどの道のりを30分かけて歩く(というより、もはや散歩)するハメになっております…。


しかし!!
こんなに「ったく、もう!!」と思うことが毎朝てんこ盛りになるにもかかわらず、破ってはいけない禁忌があります。それは、怒ること。

せっかく爽やかな朝なのに、せっかくの一日の始まりなのに、怒鳴ったり、怒ってしまっては台無し。「早くしてよっ!!!」と大声を出したくなる気持ちを、ぐっとガマンをして、なだめすかし、気分をノセなんとか楽しく家を連れださなくてはなりません。自宅を出るまででさえ、まるで苦行。

普通のビジネスパーソンであれば、無意識レベルでできることさえも、悲しいかな、職場復帰直後には、これだけ困難を伴う、というのが、現実なのです。

そしてこのタイム・マネジメントは、朝だけではありません。出勤してからは、定時退社のための戦いが始まりますし、帰宅してからは、今度は子供を決まった時間に寝かしつけるためにバタバタ…。仕事と育児の両立は、常に時間との戦いなのです。

★★★

(2). 体力
体力面での課題は2種類あります。ひとつは、自分自身の体力、もうひとつは、子供の体力(免疫力)です。

職場復帰後に課題となる「自分自身の体力」、それは言わずもがな、「普通のビジネスパーソンがおくる、普通の日常を、週5日間こなすだけの体力がない」、ということです。

改めて書くまでもないことですが、産後のダメージは想像以上なもの。出産後、一般的には約1ヶ月ほどの静養を
取ります。ダメージを受けた身体を休め、傷などを回復させることが目的なのですが、寝ていることが多い生活を送るうちに、筋力は落ちます。かなり、落ちます。産後、体力はゼロ、どころか、マイナスになってしまうのです。

そこから徐々に回復し「普通の日常生活」を、憂いなくできるようになるまで、私の場合は毎回3ヶ月かかりました。
(当然、個人差はあると思いますが、目安としてお考えいただければ)

普通の日常生活ですら、これだけ時間がかかるのですから、混雑した電車に乗って通勤し、約8時間にわたって頭を働かせ、気を遣い、人と話をし、再び混雑した電車に乗って帰宅し、一息つく間もなく子供と全力で対峙、という日常は、実は相当ハードルが高いものなのです。

私は過去2回に、前述のように復帰二週目を過ぎた頃に、ひどい風邪をひいたり、溶連菌感染症にかかったりしたので、今回は筋トレをしたり、子供たちと外で遊んだりして、体力づくりに励みました。そのため、何とか大事なく過ごせて
いますが、それでも、決してラクなものではありません。


さらに、集団生活を始めた子供も、「病気」という名の「保育園の洗礼」を受けることになります。

免疫力も十分ではない子供たちは、病気にかかりやすいもの。そんな子供たちが集団生活を送っているの
ですから、病気にかかったり、もらったりする機会が多いのは、当然のこと。最初の一ヶ月は、病気をもらいに保育園に
通い、治って登園しては、また病気になり、ひと通りの病気をもらって、免疫力をつけてゆく、という試練が待っています。

そして子供が風邪をひけば、同じ空間で生活している親にも空気感染するわけで…

この意味でも、体力との戦いなのです。

★★★

(3). キャッチ・アップ
「タイム・マネジメント」「体力」という難関を突破して、ようやく本題にたどりつくことができます。それが、業務のキャッチ・アップ。

「子供との生活」という、非効率的で非論理的な世界から、いきなりビジネスの世界に回帰するのです。キーボードを叩くスピードは鈍いわ、ビジネスメールを書くのに言葉は出てこないわ、理路整然と話すことも困難を伴うわ、まぁ、なかなか大変です。

私は産休中もビジネス脳を休ませないよう、インプットには気をつけていたのですが。それでも「キレがなくてツマラナイ」と夫に言われてしまうのですから、まぁ、頭の使うところが全く違うのでしょうね。しばらく走っていなかった人が、急にランニングをすると、気持ちばかりが前に進むのに、足がついて行かない、という感覚に非常に似ています。


自分自身が「仕事勘」を取り戻さなくてはならないだけではなく、職場を離れている間に起こった変化にも対応してゆか
なくてはなりません。

社内関係者、取引先の異動や退職に伴う、コンタクトリストのアップデート、チームや会社の方向転換、業務フローの変更などなど、産休前には普通だったことが、普通でなくなっている可能性も非常に高いもの。

ですから、育児休業明けには、新しい会社に入り直すつもりで、つまり新入社員になったつもりで出社すること。そして、できるだけ多くの関係者とミーティングを行い、多角的な角度から変化や環境をキャッチアップすることをオススメします。

★★★

いかがだったでしょうか?
「普通のビジネスパーソンがアタリマエにできること」が、小さな赤ちゃんを持つ身にとっては、いかに困難を伴うことか、なんとなくお分かりいただけたでしょうか?

復帰直後の一ヶ月は、仕事勘を取り戻すことだけではなく、上記に挙げたようなチャレンジにも直面するため、文字通り「イッパイ、イッパイ」になりがち。もし、周囲に育児休業あけで職場復帰をして間もない方がおられたら、「こんな大変さがあるんだなー」と優しい目で見守ってあげてくださいね。


*いつも応援ありがとうございます!

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