先日から「少ない時間で成果を最大化する方法」として、「タスクの目的を理解する」「本質を問う」という話をしてきました。
このトピックのまとめとして、ある例え話をご紹介します。
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あるところに庭師がいました。
ある日、庭師はお客さんから次のような依頼を受けました。
「この木を切り倒してください」
その木はとても立派な木でした。
家のそばに寄り添うように立ち、豊かな葉を茂らせています。
長い間、その家に住む家族の歴史を見守ってきたであろうことは、誰の目からみても明らかです。
(本当に、こんな立派な木を切り倒してしまって、いいのだろか?)
気になった庭師は、お客さんに確認しました。
が、お客さんは
「いいんです、切ってください」
と言い張ります。
そこで庭師は、その木を切り倒しました。
腕の立つ庭師でしたので、それは見事な切り口で丁寧に切り倒しました。
木を切り終わると、お客さんはおもむろに、木のあった場所に立ち、部屋の中を覗きこみました。
そしてこう言いました。
「よかったね、おばあちゃん!これで外の光が部屋に差し込むようになるよ!」
なんということでしょう。
お客さんが木を切って欲しいと思った理由は、病気のおばあさんのいる部屋に、日光を届けたかったからだったのです。
おばあさんは言いました。
「お日様を拝めるのはありがたいけど、あの木を失ったのは悲しいねぇ。あの木は、私が生まれる前からここにいたんだからねぇ。さみしいねぇ。」
庭師は後悔しました。
「部屋の中に日光を入れたい」という理由なら、木を切らずに別の場所に移植するという方法もあったからです。
庭が広い家でしたので、おばあさんのベッドから眺められる場所を見つけることも難しくはなかったはずです。
部屋に日光を届けながら、大切な木も眺められる、という最良の環境を作ることが可能だったのです。
時すでに遅し。
切ってしまった木は、もう戻ってきません。
それ以来、庭師は「なぜ、そうしたいのか?」を必ず聞くようになりました。
もともと腕の確かさが評判の庭師でしたが、そこに「自分では思いもよらなかった提案をしてくれる」という評価が加わり、国一番の庭師になりました。
おしまい。
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